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「うちの親、なんだか急に老けたかも…」 アンケートで見えた子の気づきと親子の本音

コラム
「うちの親、なんだか急に老けたかも…」 アンケートで見えた子の気づきと親子の本音

親の「老い」を意識した際の課題や不安について、40代〜50代の男女300人に実態調査を行いました。本記事では、調査で見えた「老い」のきっかけや親子のすれ違いを解説。将来への備えや、親子での向き合い方を知りたい方へ、不安を安心に変える具体的な一歩を提示します。

目次
親の「老い」を意識する瞬間はいつ?

親の老いをはっきりと意識するきっかけは「見た目の変化」が最多ですが、より深刻な不安を伴うのは、それに次いで多い「記憶力・判断力の低下」や「体力の衰え」です。

今回の調査で、親の老いを最初に意識したきっかけとして33.7%の人が「見た目」の変化を挙げました。しかし、子の向き合い方を見ると、「漠然とした不安を感じる」が31.7%と最も多く、これは見た目以上に、生活の自立に影響しうる内面や身体の変化を重く受け止めていることの表れです。

この「昔とのギャップ」にどう向き合うか、その戸惑いこそが、親の老いを自分ごととして捉え、将来の介護を考え始める第一歩となっているのです。

親の老いに気づくきっかけになりやすい「見た目」の変化

親の老いに気づくきっかけとして最も多いのは、久しぶりに会った時などに感じる「見た目の変化」です。これは、電話などでは分からない視覚的な情報だからこそ、たまにしか会わない場合にその変化が際立ち、はっきりと老いを意識させる要因となります。

アンケートの結果でも、「見た目の変化」が33.7%と最も高い割合を占めています。より深刻な不安を伴うのは、それに次いで多い「記憶力・判断力の低下」や「体力の衰え」です。

親の老いに気づくきっかけになりやすい「見た目」の変化

一方で具体的にどのような変化で老いを感じるかという問いでは、「足腰の衰え」(50.0%)や「感覚器の衰え」(44.7%)が上位に来ます。これは、白髪やシワといった表面的な変化に気づいた後、より具体的に「歩くのがおぼつかない」「何度も聞き返す」といった生活の中での変化を目の当たりにし、「老い」をより深く実感していくプロセスを示唆していると言えるでしょう。

「老い」か「個性」か。変化の受容と戸惑いが介護のはじまり

「老い」か「個性」か。変化の受容と戸惑いが介護のはじまり

親の老いに気づいた時、多くの子どもが「不安」や「寂しさ」といった複雑な感情を抱き、その変化をどう受け止めるべきか戸惑います。この心の揺れ動きこそが、将来の介護に向けた準備の始まりとも言えるでしょう。

親の老いに対する向き合い方として、「漠然とした不安」(31.7%)が、「穏やかに受け入れている」(30.7%)をわずかに上回り、最も多い回答となりました。親の変化を頭では「自然なこと」と理解しつつも、感情が追い付かないという子の気持ちが現れています。

また、「同じ話を繰り返す」という変化に、認知機能の低下という不安を感じる一方で、個性として捉えたい気持ちも働く場面も少なくないでしょう。「老い」と「個性」の間での心の揺らぎや戸惑いを経て、親の変化を客観的に見つめ、何かできることはないかと考えるようになった時が、「介護のはじまり」だと考えても良いのかもしれません。

親子で向き合う「老い」の壁。将来の話をしにくい背景

多くの子どもが親の将来について話し合う必要性を感じているにも関わらず、実態としては親子間の「遠慮」が大きな壁となり、具体的な対話に至っていません。

「老い」や「将来」について「話したいと思っているが、まだできていない」子どもが31.3%いる一方で、親は「子供には迷惑をかけたくない」(28.3%)という気持ちを抱えています。この「向き合いたい子」と「迷惑をかけたくない親」という、互いを思いやるがゆえのすれ違いが、将来の話をしにくくしている最大の背景です。このデリケートな壁をいかに乗り越えるかが、親子双方にとっての喫緊の課題と言えるでしょう。

「親子の対話」の実態。向き合いたい子と話してくれない親

親の将来について、子ども側は対話を望んでいても、親側の気持ちや様々なハードルによって、なかなか実現できていないのが実態です。回答者全体の半数近く(47.3%)が、老いや将来について「話せていない(できていない+避けている)」状況です。

「親子の対話」の実態。向き合いたい子と話してくれない親

その背景には、「お金や相続の話が気まずい」(35.3%)という現実的な問題に加え、「親が本音を話してくれない」(20.0%)という親側の頑なな姿勢があります。子どもが勇気を出して話を切り出そうとしても、親が「まだ元気だ」「迷惑はかけない」の一点張りでは、対話は平行線をたどるしかありません。この実態は、親の老いに向き合う上で、まず「対話の土俵」を作ること自体の難しさを示しています。

「迷惑をかけたくない」親の気持ちや身体的な不調を打ち明けられたらどうする?

親が意を決して「迷惑をかけたくない」という本音や、具体的な身体の不調を打ち明けてくれた時、その最初の応答が極めて重要です。ここで最も大切なのは、親の言葉を否定せず、まずは全て受け止める「傾聴」の姿勢です。

「迷惑をかけたくない」親の気持ちや身体的な不調を打ち明けられたらどうする?

親が口にする言葉で最も多いのは「身体的な不調」(35.0%)であり、これは具体的なSOSです。この言葉に対し、「そんなことないよ」「まだ元気じゃないか」といった励ましは、良かれと思っても親の口を閉ざさせてしまう可能性があります。

「そう感じているんだね」「話してくれてありがとう」と、不安を打ち明けてくれた勇気を受け止めることが、信頼関係を深める第一歩です。その上で、これからどうしていきたいかについて親自身の希望を尋ね、何ができるかを一緒に考えるパートナーとしての姿勢を示すことが求められます。

不安から備えへ。親と自身の老いに向き合い始めるべきことは?

多くの子世代側が将来の介護に対する不安として抱えているのが「経済的な負担」です。その不安に備えるべきだと認識しつつも、多くの人が具体的な準備に着手できていないという理想と現実の大きなギャップが明らかになりました。

調査からは、介護にはお金がかかるという強い不安がある一方で、半数近くが「特に何もしていない」という実態が見えてきます。この不安と行動の乖離を生んでいるのが、これまで見てきた親子間のコミュニケーション不足、すなわち「遠慮の壁」です。

不安を具体的な備えに変えるためには、まずこの壁を取り払い、親子で現状を共有することから始める必要があります。

将来訪れる介護で不安を感じるのは「経済的な負担」と「精神的な負担」

将来訪れる介護で不安を感じるのは「経済的な負担」と「精神的な負担」

親の老いを意識した時、多くの人が将来の介護に対する漠然とした不安を感じ始めます。その不安の正体を具体的に見ていくと、「経済的な負担」が最も大きく、次いで「時間的な負担」「精神的な負担」と続きます。41.0%の人が「経済的な負担」を最も不安に感じており、介護とお金が切っても切れない問題であることが改めて浮き彫りになりました。

施設費用や医療費、親の生活費の援助など、具体的な出費を想像して不安を感じるのは当然のことです。しかし、その不安に備えるための行動については、半数近くが「特に何もしていない」(49.7%)と回答しています。この結果から、何から手をつければ良いかわからない、あるいはまだ先のことだと問題を先送りにしている実態が伺えます。この行動と意識のギャップを埋めることが、最初の課題です。

「遠慮の壁」を取り払うことが将来に向けた本質的な準備となる

将来の介護に対する様々な不安を軽減するための準備として本質的なのが、親子の間にある「遠慮の壁」を取り払うことです。情報収集をしたり資金計画を練ったりしている方も少なくありませんが、当事者である親が何を望み、どんなことに困っているのかが分からなければ、その備えは空振りに終わってしまう可能性もあります。

「子供に迷惑はかけたくない」という親の気持ちは、子を思う愛情の裏返しですが、それが過度になると子は親の正確な状況を把握できず、適切なサポートのタイミングを逃してしまいます。「何から話せばいいのか分からない」と感じるかもしれませんが、大切なのは「どんな些細なことでも話してほしい」というメッセージを伝え続けることです。地道な信頼関係の構築こそが、将来の大きな不安に立ち向かうための土台となるのです。

親の老いに気づくきっかけは様々ですが、その気づきは、将来への漠然とした不安の始まりでもあります。本調査からは、多くの子どもが親の将来を案じているものの、親が「迷惑をかけたくない」と本音を話さない「遠慮の壁」によって、具体的な準備が進まないというジレンマが浮き彫りになりました。

なかなか普段は言いにくいものの、自身の親に伝えたいメッセージとして「遠慮せず頼ってほしい(女性・49歳)」「本音を話して欲しい(男性・59歳)」と思いを寄せる方も少なくありませんでした。

親が心を開いてくれるのをただ待つだけの不安な時間を、「安心」に変えるためのアイデアの1つが「見守りカメラ」の活用です。

離れて暮らしていても近所に住んでいても、仕事中や夜間など、親の様子がわからない「空白の時間」は誰にでも存在します。その時間を「さりげない見守り」で埋めることで、電話だけでは分からない日常の様子を確認し、言葉にならないサインに気づくことができます。それは「監視」ではなく、親を思う気持ちを形にする、新しいコミュニケーションであると言えます。

本記事が親子の対話や家族の形に合うツールの利用について検討してみてください。

監修者
監修者
北海道介護福祉道場・あかい花 代表 / あかい花介護オフィス・CEO
菊地 雅洋

株式会社モナトリエ・デ・フォレ顧問、登別市介護認定審査会委員、北海道地域密着型サービス外部評価員、総合健康推進財団訪問指導員などに従事。専門分野は、看取り介護、終活、介護事業のサービスマナー、介護保険制度、社会福祉援助技術、介護人材マネジメント。現在は、北海道介護福祉道場・あかい花 代表 / あかい花介護オフィス・CEOとして、介護サービスやケアマネジメントの講演を行うほか、複数の著書も出版している。

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